2021年12月2日 加地 茜

適切な葉酸の摂取で良好な卵巣予備能を得られる?

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葉酸で不妊治療の成績が向上?

葉酸の摂取は健康な妊娠状態の維持に欠かせない、という話は大変良く耳にすると思います。
実際、厚生労働省では食事による葉酸摂取以外に、妊娠前から葉酸サプリメントによる1日400μgの葉酸摂取を推奨しています。

参考:https://chirashi.akachan.jp/care/folic-acid/

では、妊娠前から葉酸を摂取することには何らかのメリットがあるのでしょうか?

アメリカはマサチューセッツ総合病院の不妊治療センターで2007年から2019年にかけて552名の女性患者(平均年齢35.0歳)に対して行われた研究結果( https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(21)02087-2/fulltext )によると、1日あたり400μgの葉酸サプリメントを摂取した患者と、1日あたり800μgの葉酸サプリメントを摂取した患者とでは、僅かながらではあるものの、胞状卵胞数(AFC)が1.5個ほど多くなるという差が見られた(=良好な卵巣予備能)そうです。

とは言え、葉酸を摂取すればするほど効果があると考えるのは誤りです。
1日あたり過剰な葉酸を摂取することで、がんの発症リスクや認知障害につながる懸念も指摘されています(参考: https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/05.html#d08 )。

前述の研究結果では、食事による葉酸摂取と葉酸サプリメントによる葉酸摂取を合計して1日あたり1,200μgまで胞状卵胞数上昇との相関関係が見られたそうですが、それ以上の葉酸摂取では効果が見られなかったそうです。

つい心理的に過剰摂取に傾きがちですが、適切なサプリメントの摂取を心掛けてリスクとメリットのバランスを考慮して服用することをお勧めします。

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この記事を書いた人

加地 茜

2017年1月から新人スタッフとして加わりました、加地 茜(あかね)と申します。 英語のTOIECスコアは885です。 英語の翻訳はお任せ下さい。 まだまだ修行中の身ですが、何卒よろしくお願いいたします。