お客様
グレードの高い胚と低い胚を同時に移植すると、着床率は上がりますか?
Gardner(ガードナー)の分類によりグレード分けされた受精胚を、グレードの高い胚と、グレードの低い胚に分け、それぞれ1個ずつを同時に移植したとしたら、着床率はあがるのでしょうか。
その様な研究データが以下の記事で紹介されています。
この研究ではガードナーの分類でAA, AB, BA, BBグレードの胚を「グレードの高い胚」とし、AC, CA, BC, CB, CCグレードの胚を「グレードの低い胚」として、以下の組み合わせで着床率を調査しています。
- 「グレードの高い胚」1個のみ(255症例) ⇒ 着床率約37%(多胎児出産の確率4.7%)
- 「グレードの低い胚」1個のみ(49症例) ⇒ 着床率約16%
- 「グレードの高い胚」+「グレードの高い胚」(525症例)⇒ 着床率約47%(多胎児出産の確率20%)
- 「グレードの高い胚」+「グレードの低い胚」(79症例)⇒ 着床率約32%(多胎児出産の確率19%)
- 「グレードの低い胚」+「グレードの低い胚」(28症例)⇒ 着床率約21%(多胎児出産の確率16.7%)
この研究では、各組み合わせの母数(症例数)が同一ではないため、必ずしも全てのケースでこの確率が当てはまるわけではありませんが、「グレードの高い胚」と「グレードの低い胚」を組み合わせて移植しても着床率は上がらない事が分かります。
しかし、「グレードの高い胚」を2個移植するのが必ずしも全てのケースで最善の選択とは言えません。
なぜなら「グレードの高い胚」を2個移植した場合の多胎児出産の確率が「グレードの高い胚」1個のみを移植した場合より極めて高くなる為です。
多胎児となる確率は、出産時の母体リスクを上げることにつながり、特に代理出産の場合は特別な事情が無い限り複数胚の移植は推奨できません。