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無精子症なのですが、精子採取は出来ますか?
無精子症専用の特殊な精子採取方法が何通りかあります。
無精子症とは、通常の方法(射精)での精子採取により精子の存在が確認されないことを言います。無精子症には2通りの原因があります。
- 閉塞性無精子症(Obstructive Azoospermia/OAと呼ばれる)
→ この原因は無精子症の20%を占めると言われ、精子の通り道(精路)が文字通り閉塞し、精巣では精子が作られているにもかかわらず、精液内に精子が出てこない事が原因です。 - 非閉塞性無精子症(Non-Obstructive Azoospermia/NOAと呼ばれる)
→ この原因は無精子症の80%を占めると言われ、精子の通り道(精路)に閉塞はないものの、精巣の問題により精子が作られていても極端に少ない事が原因です。
無精子症のタイプにより、精子採取の方法は異なります。何れの方法も、自分で選択するものでは無く、必ず医師の診察の下で医師が判断する事になります。
まず、非閉塞性無精子症では、次の方法があります。
- micro TESE/MD-TESE
→ 精巣を外科的に開いて顕微鏡を用いて精巣内をくまなく探して精子採取します。精子回収率は一般に30%程度と言われています。
次に、閉塞性無精子症では、次の方法があります。
- TESE (Testicular Sperm Extraction)
→ 精巣を外科的に開いて精巣から直接精子を回収します。できたての新鮮な精子が採取でき、精子回収率は一般に100%近くに達すると言われています。 - TESA (Testicular Sperm Aspiration)
→ 陰嚢の外部から針を刺し、精巣から直接精子を回収します。精巣深部からも精子を採取することが可能。 - MESA (Microsurgical Epididymal Sperm Aspiration)
→ 外科的に精巣を一時的に陰嚢外に出し、顕微鏡で観察しながら精巣上体部(副睾丸と呼ばれ、精巣で出来た精子を貯蔵する器官で精管に近い部分)から精子を回収します。精巣上体部分から採取するため、閉塞の原因が感染症であった場合は精子のDNA損傷率が高い可能性があります。 - PESA (Percutaneous Epididymal Sperm Aspiration)
→ 陰嚢の外部から針を刺し、精巣上体部から精子を回収します。MESAと同様に精巣上体部から採取するため、閉塞の原因が感染症であった場合は精子のDNA損傷率が高い可能性があります。
この様に、無精子症に対する精子採取の方法は複数ありますので、無精子症と診断されていても、精子検査で精子が見つからなくても希望を捨てる必要はありません。