今年5月に民事執行法が改正され、施行後は不払いの養育費を裁判所が差し押さえた財産から取り立てる「強制執行」を同居親が申し立てやすくなる。ただ、強制執行できるのは、調停や公正証書など法的効力のある文書で取り決めた場合だけ。協議離婚が9割を占め、養育費を口約束で済ますことが多い日本では「法改正の効果は限定的」との声も聞かれる。
改正法は来年5月までに施行される。(1)不出頭や虚偽陳述は刑事罰(懲役6カ月以下または50万円以下の罰金)(2)財産開示手続きの申立人の範囲を拡大(公正証書で決めた人も可能に)(3)裁判所が市町村や金融機関、登記所、年金事務所などに相手の財産情報を照会する「第三者からの財産情報取得手続き」=イラスト=の創設‐などで財産開示が比較的容易になり、取り立てやすくなる。
ただ16年度全国ひとり親世帯等調査によると、強制執行を申し立てられる法的効力のある文書(調停・審判・裁判での取り決め、強制執行認諾条項付き公正証書)を持つのは、母子家庭の25%、父子家庭の11%。ほとんどは法改正の恩恵にあずかることができない。