2018年6月12日 横須賀 武彦

妊娠は常に病気や死と隣り合わせ

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妊娠は常に病気や死と隣り合わせです。

油断せず、怖がらずに日頃からしっかりと健康状態を意識して自分と胎児を守ってください。

身体の血液は普段の1.5倍になり、それを全身に送り出すために心臓ががんばって働くため動悸も起こります。免疫力は低下し、風邪を引いたら長引き、またかかり、という経験をした人も少なくないと思います。

母体にとって胎児は臍の緒でつながっており、一心同体のようですが、実は別の個体、「異物」です。通常体内に異物があれば排除するのに免疫力が関わっていますが、免疫力を低下させることで胎児を排除しない仕組みとなっているのです。

どれも激烈な感染症などにかかるようなことがなければ死ぬようなことではありません。しかし、妊婦である限り、不快なマイナートラブルといつもおつきあいをしている状態です。

「妊娠は病気じゃない」とよく言いますが・・・

妊娠は病気じゃない。

まぁ、生殖は生物としての自然な行為なので、それ自体は病気じゃないのは確かです。でも、妊娠から発生する病気のいかに多いことか。ほぼ病人じゃん、というのが私の抱いている認識です。

流産、子宮外妊娠、切迫早産、そういったものが常に胎児と母親につきまとっています。

私たち産婦人科医は、産まれるまで「おめでとう」と言いません。産まれる直前までなんともなかったのに、赤ちゃんが、ともすれば母親も不幸な結果となる経験をしているからです。

知人の言った「3(産)と4(死)は隣り合わせ」は超名言だしその通りだと思っています。

原因不明の胎児死亡も起こります。

「こないだまで元気だったのになんでですか」

「止まった心臓はもう動かないんですか」

そうきかれて返せる言葉もないし、どんな言葉も状況をハッピーにすることはありません。そこには絶望しかないのです。産婦も年間50人程度は命を落としています。一瞬前までは病気じゃなかったのに死ぬ、これが妊娠です。

この記事を書いた人

横須賀 武彦

バンコク在住、(株)ジェイ・ウェッブ・クリエーション代表。1997年にバンコクへ移住し、現地工場長を経て2004年に会社設立。現在はバンコクで医療系の情報提供と起業支援を中心に活動中。日本国内で年に2回ほど個別相談会も開催しています。1952年生まれで茨城県水戸市出身、在タイ20年超