2017年5月8日 横須賀 武彦

「自然周期」という治療法のデメリットを理解していますか?

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日本人が大好きな「自然」という言葉が、治療結果を悪くしている可能性があることを知るべきでしょう。

自然周期は万能ではないということを理解して治療法を選択して下さい。

日本では、「自然周期」という排卵誘発剤をできるだけ使わない方法が好まれていて、実際、日本国内で多く行われている。「排卵誘発剤を使うと閉経を早める」などの科学的な裏付けがない話を信じている人もいる。また、食事療法や体操など薬に頼らない健康法に強い関心を持つ人が多いのも日本の特徴で、その中には薬を有害と考える人もいる。

一見、体に優しいと思われる、この日本的なやり方が、体外受精の成功率を下げている可能性がある。

国際的な研究成果からは、排卵誘発剤の適切な使用が体外受精の出産率を上げることが、明らかになっている。つまり科学的にみると、日本で広く行われている「薬を使わない自然周期の治療」よりも、きちんと薬を使って治療をしたほうが効果は得られるということだ。これは、世界的な学術団体の合同会議でも結論が出ている事実である。

薬を使わない自然周期の体外受精は出産率が低いため、英国では、国が定める不妊治療のガイドラインに「医師は、自然周期は提案してはいけない」と明記されている。これはインターネット上で公開されているため、治療を受ける人たちも簡単にアクセスして知識を得ることができる。しかし、日本ではこのような情報はなかなか得られない。

そもそも日本には、学会が作った治療法の統一ガイドラインは存在しない。その結果、日本の不妊治療は、専門施設であっても治療方針がばらばらで、妊娠率にも差があることは専門家の間でよく知られている事実だ。それゆえ患者は、どの医者が正しいことを言っているのか確信が持てず、転院を繰り返すことが多い。もしくは、それもできず、不安なまま自分に合わない治療を繰り返してしまう人もいる。

そうしているうちに、貴重な時間やおカネをムダにしてしまうのだ。

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この記事を書いた人

横須賀 武彦

バンコク在住、(株)ジェイ・ウェッブ・クリエーション代表。1997年にバンコクへ移住し、現地工場長を経て2004年に会社設立。現在はバンコクで医療系の情報提供と起業支援を中心に活動中。日本国内で年に2回ほど個別相談会も開催しています。1952年生まれで茨城県水戸市出身、在タイ20年超